珍しくワインが家にあった。父が知人に薦められて購入してきたらしい。
普段の我が家はチューハイかビールか梅酒。ちなみに、私は晩酌の習慣がない。
「おいしいワインらしいねん」と買ってきたワインを嬉しそうに開けようとする父。
しかし、ワインオープナーがない。ワインなんて飲むことがないので、そんな気の利いたものがあるはずがない。
私 「隣り(親戚の家)で借りてきたら?」
父 「あるやろか?ないやろ〜」
母 「100均で買うてきて、明日飲んだらええやん」
父 「寒いから、上、着て行こ」
T1
(=Tシャツ1枚←真冬にそれは寒いよ)の上に、パジャマを着てお隣さんにワインオープナーを借りに行った。ワインを諦めきれなかったみたいだ
数分後・・・。
「あったで〜」とワインオープナーを手にして父は戻ってきた。
「これ、栓らしいわ。フタ取った後にするやっちゃな」と、ワインのフタ
(プラスチック+ゴム製)まで借りてきていた。
「あかんなぁ〜。これ、あかんなぁ〜」とワインと格闘する父。
心配そうになりゆきを見守るマグ、ユメ、カナ。
(メルはコタツでお休み中)机の上にはコルクが散らかっていて、マグたちが座っている床にまで残骸が落ちている。粉々のコルクに興味津々のユメカナに「食べたらあかんよ」と釘を指してから声をかけた。
私 「開けたろか?」
父 「開けられるんか?ワインやぞ」
」(分かってまんがな〜。ワインっていうのはさ。←心の声)
コルクがボロボロになっている原因は、ワインオープナーを一生懸命に反対に回していたからだった。
「これ、回すん反対やで〜」と私は慎重に反対に回した。これ以上、コルクがボロボロになったらワインに混ざってしまう。
父はボトルを抑えながら、
「よし、回せ。そぉーとやぞ。もう、抜けるんちゃうか?」
(メッチャはりきってるし・・・) スポンッ! ワインにコルクが混ざることなく上手に抜けました。
「よしっ!」とメッチャ嬉しそうな父。そして、イソイソとワイングラスを物色。
「ないな〜。ないわ。1コしかない」と戸棚から出してきたのは・・・。
ワイングラス1コとアイスクリームグラス
(子どもの頃、私が使っていたもの)だった。
「それ、アイス入れるやつやで」と私。
(そりゃ、形は似てるけどもさ)
「ないねん。わし、これで飲む。これはお母さんや」
ワインを注ぎ、ワイングラスを母に渡してあげる父。何故か嬉しそう。そして、父はアイスクリームグラス
コアラの絵のついたアイスクリームグラスと父。それだけで笑える
「うまいな〜」を連発する父。
(1口飲んでから、3回は言っていた)
「会社のモンがうまい言うてたから、買いに行ったら半額やってん。うまいやろ〜?」
(うまいワイン→半額→嬉しい→うまいわ〜という思考なんかな??) そんなに「うまいのか?」と私も飲んでみた。赤ワインは渋みが強いと聞いたことがあったけど、すっきりした味でおいしかった。
ユメカナもペロペロ舐めるほどだった。結構、イケル口?その後、走り回っていた。もしかして酔ったのか?
一家でコタツで温もり、ワインとつまみ
(チョコレート、鈴カステラ、おかきなど)を食べながら“ハケンの品格”を見ていた。その間、父の酔いが回ってきたようで顔面が真っ赤だった。
父 「酔うたわ〜」
私 「グラス2杯しか飲んでへんやん」
(しかも、小さいコアラのグラスやし)
酒量でいうなら母や私の方が多いはずなんだけど、呂律が回らず普通に話していてもおもしろい。
(飲まなくてもおもしろいんやけどね)
ドラマはいつのまにか終わり、ニュースが始まった。たまたま政治関係のニュースで“霞ヶ関”が出てきた。
「霞ヶ関ってどこにあるんやろう?」誰に聞くともなしに私が口にした。
「東京や」父、即答。
「知ってるわ〜。何区か?って聞いたんやけど」
「東京23区の何区か?って事やん」と母、ナイスフォロー。
「区・・・」
さらに母は詳しく説明した。
「“港区”とか、そんなんやん。東京は“市”の代わりに“区”がつくやろ?東京の人間ちゃうから分からんけど・・・
(以下省略)」
父 「東京区?」
家族全員 「はぁ?」
母 「ちゃうわ。東京“都”やで。その後に“区”」
父 「しんじゅ
く?」
(ダジャレですかい!?←心のツッコミ)
私 「しんじゅくの“く”は、“区”とちゃうし」
弟 「新宿区はあるみたいやで」
(携帯で“東京23区”を検索していたようだ)
私 「で、霞ヶ関は何区なん?」
父 「かすみがきょく」
家族全員
「はぁぁぁーー!?」 そんな区あるはずもない。母が東京23区を説明しても、酔っ払いには“馬の耳に念仏”である。
(シラフでもこうだったかもしれないけど??) 母 「23区の“区”がつくねん。霞ヶ関の上に」
父 「せやから、霞ヶ関・・・かすみがきゃく?きょく?」
私 『早口言葉か、5段活用かい!?』
(←心のツッコミ)
母 「頭に、霞がかかってるんちゃうか〜」
(うまいっ!座布団1枚)
爆笑の渦の中、お開きになった。
メルはクールにその光景を眺め、マグカナは首をかしげ、ユメはみんなが笑っているのでとりあえず尻尾を振っていた。ちびりそうになるくらい笑っちゃいました〜。“笑う門には福来たる”ですね。お後がよろしいようで〜♪