魔のマッサージの翌日。私の方はパンパンに凝っていた。マッサージに行ったのにも関わらずに!である。
「あー、だるい。あー、しんどい。あー、痛い。金返せ〜」と私は朝から連発していた。
休憩時間にも首が回らないだの、痛いだの言っていた。見かねた同僚Mちゃんがこう言った。
「電話したらええやん」
「え?電話?? それってクレームってこと?」
「そうそう。文句言うたったらええねん」
「えー、無理やろ〜。カード払いやし、マッサージ後やもん」
「言うたろか?」すでに右手には携帯。左手には財布から出したお店のポイントカードが握られている。準備のよろしいことで・・・
「あー、もしもしぃ〜?昨日そちらでマッサージをしてもらった者ですけど、オーナーさんか・・・店長さんいてはります?」
「すっげぇぇぇ〜」
(店長ご指名って・・・いきなりっすかぁ〜)
「あ、店長さんですか?昨日、マッサージしてもらった者なんですけどね。今日になって首が回らないぐらい痛いんですよ〜。マッサージをしてくれた人なんですけど・・・あえて名前はいいませんけどね、どこしたらいいですか?って聞きはるし、ツボじゃないところをされて、はっきり言いますけど、うまくなかったんですよねぇ」
「こえぇぇぇ〜」
(普通のトーンで話すMちゃん。普段はとっても良い子な彼女の意外な一面を見た。笑顔でクレームって怖いよ・・・)
「決して安い値段じゃないですよねぇ。返金とかしてもらえないんですか?あ、それは無理・・・。それならそれ相応のサービスとかしてもらえないんですか〜?」
Mちゃんの交渉のおかげで30分無料でマッサージをしてもらえることになった。私になりすまして電話をしてくれてありがとね。その後、お店にはちょっと行きにくかったけど、でも、でも、ありがとうっ! 決して安い金額じゃないから、ちょっとでも返ってきてよかったよ。
「言わなきゃ損だよ〜」とMちゃん。ほんとにそうだよね。交渉術、私も習得しないとなぁ〜